今日のテーマは亜鉛。ここ2〜3年は感染症が話題になったこともあって、亜鉛の重要性がいろんなところで強調されるようになりましたが、自分が亜鉛不足になっていないかチェックする方法を知っておくことはめちゃくちゃ重要です。
亜鉛不足の症状の特徴、血液検査データから推測する方法を知って現状を把握すること。そして足りていないのであればどんな方法で摂取すればいいのか?どんな種類のサプリを選べばいいのか?などなど、亜鉛の基本情報を分子栄養学の視点からまとめましたので、参考にしていただけたらうれしいです。
目次
1.亜鉛が不足しているかチェックする方法
1-1.症状から亜鉛不足をチェック
まずは症状から亜鉛不足を推測してみるといいと思います。代表的な症状としては次の13個。特に皮膚トラブルとか味覚障害は有名ですよね。いくつか当てはまる人は亜鉛不足の可能性が高くなりますので要注意ということになります。
- 身長の伸びが悪い
- 体重が少ない
- 食べ物の好き嫌いが多い
- 食欲不振
- 風邪をひきやすい
- 貧血の症状がある
- 粘膜が弱い
- 皮膚炎が出やすい
- 傷の治りが遅い
- 味覚障害
- ED
- 血糖値の乱高下がある
- 爪に白い斑点がある
1-1-1.身長の伸びが悪い子どもは亜鉛不足の可能性も
子どもの低身長はもしかしたら亜鉛不足が原因かもしれません。もちろん他の原因もありますが、一因になっている可能性は十分あります。
亜鉛はたんぱく質の合成や成長ホルモン、性ホルモンの産生に欠かせません。ということは当然亜鉛が不足していたら身長が伸びにくくなるわけです。
もしお母さんが亜鉛不足の場合、母乳に含まれる亜鉛の量も少なくなることがわかっています。なので、まずはお母さん自身がしっかりと亜鉛を充足させておくことが重要で、血液検査でチェックしておくことをおすすめします。血液検査についてはこのあと詳しくお話しします。
特に乳幼児期の亜鉛補給が成長に影響を与えたという報告[*1]もあるので、私たち親世代が正しい知識を持って対応してあげたいところです。子どもにおすすめの亜鉛サプリも下のほうに貼ってありますので参考にしてみてください。
子どもと亜鉛の関係についてはまた別記事で詳しくやりたいと思います。
1-1-2.亜鉛不足はさまざまな皮膚トラブルを起こしやすい
亜鉛は皮膚にも多く存在していて、不足すると健康な皮膚が維持できなくなります。新しい皮膚細胞をつくるのに欠かせないんです。亜鉛は「美肌ミネラル」とも呼ばれているくらい健康的な肌の維持に重要ということ。
ちなみに、皮膚の90%はコラーゲンですから、コラーゲンの材料となる「たんぱく質+ビタミンC+鉄」も重要だし、細胞の分化を促すビタミンAもセットで摂ると有効です。
1-2.血液検査「ALP」から亜鉛不足を推測する
血液検査の項目にある「ALP」という項目は亜鉛不足を推測する指標の一つになります。ALPは亜鉛含有酵素なので、亜鉛が不足すると低値になりやすいです。
分子栄養学的な基準でいうと、JSCC法の場合だと「180」、IFCC法だと「63」が理想値と言われていて、これを下回ってくる場合には亜鉛不足を疑っていきます。
ALPの測定法にはJSCC法とIFCC法があって、「理想値180」というのはJSCC法の場合です。2020年4月からIFCC法への変更が進められていて、現在はほとんどがIFCC法での表記になっています。なので「63」という数値も目安として覚えておいてください。
ただ、ALPの数値は他の要因によって変動することがあります。この項目一つだけで判断するのではなく、他の項目も鑑みた上で判断していく必要があります。なので、この数値はあくまでも目安として使っていただいて、正確には分子栄養学カウンセラーや分子栄養学に精通した医師に解析してもらうことをおすすめします。
1-3.銅亜鉛バランスを見る
次は銅亜鉛バランスです。通常の血液検査だと「銅」と「亜鉛」は検査項目に含まれていないので、追加でお願いすることになります。
亜鉛の数値は単独で見るよりも銅とのバランスで見ることが大事で、理想はどちらも「100」。1:1がちょうどいいです。やや亜鉛が多いくらいでもいいかなという感じです。でも実際には銅過剰で亜鉛不足というパターンの人がけっこう多い。
そうすると何が起きるかというと、脳内神経伝達物質のバランスが乱れます。そして、イライラしたり、攻撃的になったりする。簡単に説明すると、ドーパミンからノルアドレナリンに変換されるときに銅が使われるのですが、銅過剰の状態だとドーパミンんからノルアドレナリンにどんどん変換されていくのでイライラや不安感が強くなってしまうというわけです。この辺の詳細はまた別記事で説明しますね。
また、銅亜鉛バランスはエストロゲン代謝にも関わっているので、銅過剰になるとPMSも強く感じるようになりやすいです。この辺が当てはまる人はぜひ一度血液検査項目に「銅」と「亜鉛」を追加してみてください。
2.亜鉛を効率よく摂取する方法
2-1.亜鉛サプリから摂取する
亜鉛サプリは治療レベルで摂る場合と亜鉛不足を補う目的で摂る場合とで容量がだいぶ違ってきますが、ここでは栄養不足を補うためのお話をします。
亜鉛の推奨量は10mgで、上限が男性の場合で45mg。亜鉛不足を解消するならこのくらいで十分ということになります。
亜鉛サプリにも種類がいろいろありますが、吸収率でいったら「ピコリン酸亜鉛」がおすすめです。ただこれもドラッグストアなどでは売っていないので、やはりiHerbなどで買うことになるかと思います。
Thorne Research(ソーンリサーチ), 亜鉛ピコリン酸、15 mg、60カプセル
マグネシウムでもおすすめしましたが、Thorne Researchは信頼度が高いメーカーなので私はこちらを選ぶことが多いです。これは15mgですが、30mgのものも売られていますので食事内容などを考慮して選択するといいと思います。
ただ、亜鉛サプリは胃腸の弱い人やたんぱく質不足の人が飲むと吐き気が出やすいです。なので、最初は「亜鉛カルノシン」を活用するのもおすすめです。
Doctor’s Best(ドクターズベスト), PepZin Gl(ペプジンGI)、亜鉛-Lカルノシンコンプレックス、ベジカプセル120粒
こちらであれば吸収性が非常にいいので胃腸の負担になりにくいです。そもそも亜鉛カルノシンというのは胃粘膜に損傷がある人のために開発されたものなので、他の亜鉛サプリがだめだったという人にもおすすめなんです。
ちなみに子どもに亜鉛を補給してあげたいという人におすすめなのは「亜鉛ロゼンジ」。トローチタイプです。おやつみたいな感覚で手軽に亜鉛が補給できます。
NaturesPlus(ネイチャーズプラス), Source of Life, アニマルパレード, 子供用亜鉛ロザンジ
さきほども書きましたが、亜鉛とビタミンAはセットで働くことが多いので、単独で摂るよりも一緒に摂ることをおすすめします。
2-2.食品から亜鉛を摂取する
こちらが亜鉛を多く含む食品トップ10。やっぱり牡蠣が最強ですね。
亜鉛を多く含む食品Top20
— まつざき【分子栄養学カウンセラー】 (@s_matuzaki) January 3, 2022
1位 牡蠣燻製油漬25.4mg
2位 牡蠣水煮18.3mg
3位 小麦胚芽15.9mg
4位 生牡蠣14.5mg
5位 牡蠣フライ11.9mg
6位 かつお塩辛11.8mg
7位 パプリカ粉10.3mg
8位 からすみ9.3mg
9位 ビーフジャーキー8.8mg
10位スモークレバー8.7mg
※100gあたり
おやつにビーフジャーキーもあり🙆♂️
ビーフジャーキーとかレバーをおやつに食べるのもありかと思います。
このトップ10はあくまでも食品成分データベースでのトップ10なので、普段摂りやすいかどうかはまた別なんですよね。そこで、ここまで含有量は多くないけど普段から摂取しやすいものもあげておきます。
- 煮干し
- アーモンド
- カシューナッツ
- スルメ
- 牛肉
- チョコレート
- ごま
- 海苔
- うなぎ
- 卵
- 鶏レバー
- 干し椎茸
この辺を食事やおやつにうまく取り入れて、できるだけ食事から多く摂取するのがベストです。
3.亜鉛が不足しやすい理由
- ストレスにより亜鉛が消耗される
- 水銀の影響で亜鉛の吸収が阻害される
- 食品添加物が亜鉛の吸収を阻害する
- アルコールの代謝で亜鉛が消耗する
- 鉄剤の摂取で亜鉛の吸収が阻害される
この辺は特に現代人が影響を受けやすい要因です。なので、相当意識しないと食事だけで亜鉛を十分に補給することは困難と言わざるを得ません。「昔の人はサプリなんて飲んでないんだからサプリに頼る必要ないでしょ」という意見をよく聞くのですが、現代人は環境ストレスが比べ物にならないんです。
個人的には亜鉛とビタミンDはもうサプリに頼ったほうがいいんじゃないかと思っています。
参考文献
*1.Effect of Zinc Supplementation on Growth Outcomes in Children under 5 Years of Age
こんにちは!臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラーのまつざき@s_matuzakiです。ここでは、亜鉛不足をチェックする方法として3つご紹介したいと思います。まずは「亜鉛不足の症状チェック」から見ていきましょう!