夜間低血糖の対策にプロテインは有効なのか?飲むならどのタイミングでどのくらいの量を飲めばいいのか?寝る前のプロテイン摂取は注意すべき点もあるので、分子栄養学の視点から解説したいと思います。実践したい方はぜひこの記事をご一読いただいてから試してみることをおすすめします。
1.夜間低血糖の対策に寝る前のプロテインが注目される理由
夜間低血糖に関しては以前の記事で詳しくお話ししているので、まだ読んでない方はこちらからどうぞ。
夜間低血糖というのは、簡単にいうと「寝ている間に血糖値が落ちすぎてしまう状態」のことです。血糖値が急激に下がる時にアドレナリンが出て、その影響で歯ぎしりや食いしばり、中途覚醒などの嫌な症状が出始めます。
そして、その対策の一つとして「寝る前にスプーン1杯のハチミツ」が推奨されているのですが、ハチミツの代わりに「寝る前のプロテイン」を勧めている人もけっこう多くて、実際に効果のほどはどうなのか?という話をしたいと思います。
結論から言うと、「寝る前のプロテイン」は個人的にはものすごく好感触でした。私の場合はプロテインにハチミツも入れましたが、この組み合わせがいいんじゃないかなと思っています。
というのも、たんぱく質自体は血糖値を急激に上げてしまうことはまずない[*1]し、糖質の吸収も緩やかにしてくれるから、夜間低血糖対策で使うならハチミツ単体よりも、プロテインと一緒に摂ることでより持続力を高めることができる可能性は十分あるわけです。
2.食前のプロテインでどのくらい血糖値を抑えられるのか?
たんぱく質のおかげで血糖値が急上昇しにくくなるのはなんとなくイメージできるけど、実際にどのくらい変わるのでしょうか?
ニューカッスル大学の研究によると、食前に15gのたんぱく質が含まれるホエイプロテインを、食事の10分前に摂取したところ、対照群に比べて24時間の血糖値の平均が10.8mg/dlも低かった[*2]そうです。
これは1回の食事での変化ではなく24時間の平均値ですが、私が実際にリブレで測定したときはやっぱり食後血糖の最高値が10〜15くらいは低かった印象です。数日中に実際に測定したものをここに追記しますね。
いずれにしても、これだけ血糖値に変化があるならやる価値は十分ありますよね!
3.プロテインの摂取量とタイミングには要注意!
ただ、プロテインを摂る場合には量に気をつけなければいけません。この実験では1回に15gを摂っていますが、これでは人によっては多すぎることもあります。
プロテインは基本的には消化吸収が良いと言われていますが、胃腸の働きが弱い人にとってはけっこうな負担になります。もしプロテインを飲んで次のような症状が出る人は量が多すぎる可能性があるので注意してくださいね。
- 下痢をする
- おならがよく出る
- おならのにおいが強い
- お腹がゴロゴロする
- ガスが溜まる
特に低胃酸の人がプロテインを飲むとこのような症状が出やすいです。低胃酸に関しては過去記事を読んでみてください。
低胃酸だとたんぱく質をうまく消化吸収できなくなります。その結果、腸内に未消化たんぱく質が流れていくので腸内環境が悪化して、上記のような症状につながるわけです。
ちなみに、ホエイプロテインは1時間あたり約8〜10gの速度で吸収される[*3]とのことなので、胃腸の負担を減らすためにも寝る1時間前には飲んだほうがよさそうです。
あと、夜間低血糖がある人はたいてい胃酸分泌も低下していることが多いので、プロテインの大量摂取は基本的にNGです。この辺は個体差が大きいと思いますが、8〜10gでも多いと感じる人はいますので、夜間低血糖対策で飲むなら3gとか5gくらいからスタートしたほうがいいかもしれません。
4.まとめ
夜間低血糖を防ぐために、寝る前にプロテインを飲むことは有効な戦略の一つです。血糖値を急激に上げることなくエネルギーを供給できるし、本文には書かなかったけど、寝入りも良くなる効果が期待できたりします。
睡眠の質が上がれば、日中の血糖コントロール改善にも有効だし、ぜひブロテインとハチミツの組み合わせを試してみてください。ハチミツの量も個体差がありますので、血糖値が上がりすぎない量を探す必要がありますのでご注意くださいね。
【参考文献】
コメントを残す