一般の病院ではなかなか指摘してもらえない「副腎疲労」。うつ病や起立性調節障害、慢性疲労症候群などと誤診されていることが多いのが実情で、長年薬を飲んでいるけど一向に良くならないという相談をよく受けますが、副腎ケアをすることであっさりと薬を卒業できる人は少なくありません。
まずはこちらの記事を読んでいただいて、副腎疲労とは何なのかを把握することから始めてみてください。
1.副腎疲労症候群とは?
副腎疲労というのは、簡単にいうと「副腎からのコルチゾール分泌が多すぎたり少なすぎたりする状態」のことを言います。
僕たちのように分子栄養学を勉強している人にとっては、当たり前のように「副腎疲労」というワードを使っていますが、実は従来の医療現場では疾患として認められていません。だから内科に行っても診断してもらえないことが多いし、そもそも副腎疲労の存在すら知らない医師もまだまだいます。
実際に「Pubmed」で論文検索をしてみると、トップに表示されるのは「副腎疲労は存在しない:システマチックレビュー」というタイトルです。
「アディソン病や副腎萎縮などの副腎の出力が著しく損なわれる疾患がないにも関わらず、副腎が機能しないというエビデンスはない」とのこと。
これを見て「副腎疲労なんてないじゃないか!適当なことを言うな!」とクレームが入ることも多々あるのですが、実は僕たちはこれをわかった上で、わかりやすいから「副腎疲労」というワードを使っているだけなんです。
副腎疲労とは、正確にいうと「HPA軸機能障害」のこと。HはHypothalamus(視床下部)、PはPituitry(下垂体)、AはAdrenal(副腎)で、それぞれの頭文字をとってHPA軸というのですが、この軸がうまく機能しなくなった状態を副腎疲労と呼んでいます。「HPA軸機能障害」については検索すれば論文がたくさん出てきます。
つまり、副腎自体が疲労するというわけではなくて、脳下垂体からの指令がいかなくなっている状態で、結果的に副腎機能が低下してしまうということ。
問題は、この概念が従来の医療現場ではまだまだ知られていなくて、誤診に繋がっているパターンがすごく多いということなんです。例えば、うつ病や起立性調節障害、慢性疲労症候群、甲状腺機能低下症などが典型的で、これらの診断を受けて長年治療を受けているにも関わらず、なかなか良くならないという人は副腎疲労を疑ってみたほうがいいです。
一般的な内科などに行って相談しても理解してもらえないので、分子栄養学を取り入れている医療機関、もしくは、僕のような分子栄養学カウンセラーに相談することをおすすめします。
分子栄養学を取り入れている医療機関はこちらのサイトで検索できますよ↓
2.副腎疲労の症状チェックリスト
ということで、まずは自分が副腎疲労に当てはまる可能性があるかどうかをセルフチェックしてみましょう。下記の項目で挙げたものはどれも副腎疲労の典型的な症状です。いくつか当てはまる人は副腎疲労を疑ってみてください。
- 朝起きるのがつらい
- 十分寝ても疲れがとれない
- すべてが億劫に感じる
- 鬱っぽい
- 甘いもの欲が強い
- 塩分が欲しくてたまらない
- コーヒーを毎日数杯飲む
- カフェインがないとがんばれない
- 常にお菓子をストックしてある
- チョコレートを無性に欲する
- 優柔不断
- 記憶力が低下した
- 些細なことですぐイライラする
- 朝は調子が悪いけど、夕方以降に元気が出てくる
- 立ちくらみがする
- 低血圧
- 何をしても楽しくない
- PMSが悪化した
- 性欲が低下した
- 外では元気だけど家に帰るとぐったりする
- 熟睡できない
以上が副腎疲労の特徴的な症状となります。もちろん、副腎疲労が強い人でもすべてが当てはまるというものではないですが、個人的には3個くらい当てはまれば副腎疲労を疑うべきだと思っています。
3.唾液コルチゾール検査で副腎機能をチェックしよう
もししっかりと検査をして自分の副腎の状態を確認しておきたいという場合は、「唾液コルチゾール検査」がおすすめです。
こういった検査キットが売られているので自宅で検査することができます↓
アンブロシアのサイトはこちら↓
このキットでは1日4回唾液を採取して、唾液コルチゾールの日内変動を見ます。
ちなみに、副腎疲労の人はこんな感じになります↓
こうやってグラフで見ると自分がどのステージにいるかが一目瞭然ですね。
ステージ1の人は基準値よりもコルチゾールレベルが高くなります。上記の例では夜の時間帯がかなり多く分泌されていますね。
ストレスがかかってすぐの時期はコルチゾールがたくさん分泌されているので本人は元気で副腎疲労の自覚はありません。バリバリ仕事をしているビジネスマンに多いタイプ。これを何年か続けていると徐々にステージ2→ステージ3と進行していき、「あんなに元気だった人が鬱になって仕事やめちゃったらしいよ…」ということになります。
ちなみに、ステージ2の場合はコルチゾールの検査結果をみても「あれ?悪くないじゃん!」と思うかもしれませんが、DHEAを一緒に測ることでステージ2なのか正常なのかが判断できます。
下のグラフの「StageⅡ」のところを見てください。StageⅠで急激に上がっていたコルチゾールがちょうど下がってきてNORMALの領域にいますね。だから唾液コルチゾール検査でも一見正常なんです。
でも、「DHEA」を見るとどうでしょう。StageⅠの段階ですでに下がってきていて、StageⅡでは正常値の半分以下です。なので、DHEAのレベルを見ればステージ2なのか正常なのかが明確にわかるというわけです。
先ほどご紹介したアンブロシアの唾液コルチゾール検査には、「唾液コルチゾール日内変動」と「唾液コルチゾール+DHEA/DHEA-S」の2種類があるので、どうせやるなら「唾液コルチゾール+DHEA/DHEA-S」でやったほうがいいでしょう。
4.まとめ
副腎疲労というワードはまだまだ一般の医療現場では知られていなかったり、知っていても病気として認めていない医師が多いのが実情です。ただ、「HPA軸機能障害」で論文検索をすればたくさんヒットするので、気になる方はぜひ調べてみてください。
副腎疲労の正体は「HPA軸機能障害」です。つまり、脳の機能が低下した結果、副腎機能が低下している状態です。そして、コルチゾールの分泌が多すぎたり少なすぎたりすることで身体にさまざまな症状を誘発します。
うつ病や甲状腺機能低下症、起立性調節障害などで長年薬を飲んでいるけどなかなか良くならないという方は、ぜひ一度副腎疲労を疑っていただいて、分子栄養学に精通した医師、または分子栄養学カウンセラーに相談してみることをおすすめします。
こんにちは!臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラーのまつざき@s_matuzakiです。では、副腎疲労症候群についてできるだけわかりやすく解説していきます!